慶應義塾大学 湘南キャンパス 秋山美紀研究室 Miki Akiyama Lab

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2013年度 卒プロ

2013年度、秋山研(ヘルスコミュニケーション)は、4年生5名が、個性が光る卒業研究を仕上げて旅立ちました。なお今年度は鷲見君の論文「夫婦間の意識の差からみた双方が満足する男性の育児参加」がSFC優秀卒業論文に選ばれました。秋山研の卒業プロジェクトは学内では全文ウェブ公開されています。

■2013年度秋学期■

鷲見 祐介
夫婦間の意識の差からみた 双方が満足する男性の育児参加

【概要】
 近年、男性の育児参加が社会的に推進されている。しかし、男性の家事育児時間は欧米に比べるとまだまだ少なく、育児休業取得に至っては、2011年の2.63%が最大であり、十分に育児参加できているとは言い難い。そこで、本研究は、小学校就学前の子どものいる家庭生活における夫婦双方が満足する家事育児参加を促すには、どのような要素が必要であるかを探ることを目的とする。文献調査から、男性が考える育児と女性が男性に求める育児について違いがあることが示唆され、アンケート調査より、男女の役割意識に違いがあることが示され、役割意識を一致させるためには、「家事育児に関する会話時間」が必要であることがわかった。また、インタビュー調査より、「価値観の一致」「主体性を持って取り組む」ことが重要であり、それらを促すために、「会話」「子どもとの触れ合い」「女性のサポート」が必要であることが示唆された。以上の結果から、男性がよりよい育児にするために「価値観の共有」「会話時間と質の確保」「主体性の喚起」「目的意識の芽生え」「子どもとの触れ合い」の5項目を必要な因子として示し、より多くを満たすことが必要であると本研究では結論付ける。

【キーワード】
1. 男性の育児参加/2. 満足度/3. 役割認識/4. 会話

志比 菜津実 
子育てサロン運営の課題と子育て支援の改善

【概要】
  子育てサロン運営の課題と子育て支援の改善 育児ストレスは、育児を行う人ならば誰しもが少なからず感じるものであり、その不安感や自身への無力感をうまく消化することができずに、ネグレクトや暴力といった児童虐待などの重大な社会問題へと発展することもある。核家族化や少子化、地域の連携の希薄化など育児を取り巻く環境は大きく変化し、女性の社会進出も進んだ現在では、以前と同じような育児支援体制ではサポートが充実しているとは言えない状態となっている。  本研究では育児ストレスを軽減する手段の一つとして子育てサロンに着目し、行政運営・民間運営サロンを訪問・参与観察、またサロンの運営者にインタビューを行うことで、サロンが抱える運営上の課題を明らかにした。また、サロン利用者に対してインタビュー調査を行うことで、利用者がサロンや育児支援に求めていることを明らかにした。それらをもとに、サロン運営の課題解決法、これからの育児支援のあり方などを検討する。

【キーワード】
1. 育児支援 / 2. 子育てサロン / 3. ソーシャル・サポート / 4. 育児コミュニティ / 5. 育児ストレス

樫原 唯
温州みかん農家の保護具着用の現状と課題

【概要】
農薬にはリスクがある。しかし、農薬を使用しないということにもリスクはあり、現代では農薬を使用するリスクをとって我々の手に農産物が届いている。その裏側には農薬のリスクと日々戦う農家がいる。農家は農薬散布時に保護具を着用することで、身を守ることができるが、いったいどれくらいの農家が保護具を着用しているのだろうか。また、その農家を指導する営農指導員や、啓発活動をしている団体は、どのような情報をどうやって伝えているのか。本研究はそれらを明らかにし、農家の行動変容に対して、農協などのプレーヤーがどうかかわっていく必要があるのかを導くことを目的とした。よって、本研究ではアンケート調査により農家の保護具着用について現状を明らかにし、そこに関連する因子を追求した。また、農家に保護具の着用指導・啓発をしている農協とそれ以外の団体について、指導・啓発内容を比較しまとめた。農協の職員による営農指導については、現状を明らかにするためにインタビュー調査を行った。その結果として、保護具の着用は、防護衣・マスク・手袋においては、80%以上の人が毎回着用していると回答した。一方保護眼鏡については、84%の人が着用しないと回答した。また、営農指導員、農薬メーカー、保護具開発会社など、様々プレーヤーが農家の安全のために取り組むべきことを導くことができた。

【キーワード】
1. 農薬 / 2. 農薬中毒 / 3. 生産者 / 4. 健康リスク / 5. 保護具

小林 かえで
学童期の子どもの運動習慣形成における要因分析

【概要】
我が国では生活習慣病が大きな社会的な問題となっており、小児にまで派生している。心身ともに健康的な生活を送るにあたって運動習慣の定着は重要な要素であることをふまえ、本研究では学童期の子どもの運動習慣に着目することにした。本研究は先行文献調査により子どもの運動習慣に関する現状を明らかにし、アンケート調査では学童期運動習慣の成人期運動習慣への影響の有無と、学童期運動習慣形成に関わる要因の2点を明らかにすることを目的としている。研究結果から学童期の運動習慣は成人期の運動習慣のもとになっており、学童期から運動習慣を身につけておくことの必要性がわかった。また、学童期の運動習慣は友人と共に体を動かす快感から得られる、運動に対するポジティブイメージと得意意識から形成されることが明らかになった。

【キーワード】
1. 運動習慣 / 2. ポジティブイメージ / 3. 得意意識 / 4. 友人 / 5. 学童期

秋山 優介
就職活動に対するモチベーションに影響を与える要因の研究

【概要】
 2008年に発生したリーマンショック以降、就職氷河期を迎え、就職をしたくても就職できない若者が急増した。それから数年経った現在では、景気も回復しつつあり、就職活動を取り巻く環境は少しずつではあるが回復している。しかし、就職活動に関連した社会問題は未だに多く存在する。その一つに、就職活動の失敗を原因とした若者の自殺者数の増加が挙げられる。筆者はこのことに強い問題意識を持ち、一人でも多くの学生が充実した就職活動の期間を過ごし、自分に合った進路を選択できるようにするにはどうすれば良いのか、本研究を通してヒントを得たいと考えた。  本研究では、人が困難にぶつかってもそれを乗り越えるエネルギーとなる「モチベーション」に着目した。そして、『就職活動に対するモチベーションは何によって導き出されるか』と『就職活動に対する満足は何によって導き出されるか』という二つのリサーチクエスチョンに対する答えを明らかにするためインタビュー調査を行った。調査の結果、就職活動に対するモチベーションを高める経験として、『選考に合格した経験』、『自分の強みや魅力に関する気づき・フィードバックを得た経験』、『人に励まされた経験』、『自分の将来像が明確になった経験』の4つが挙がり、学生の自己効力感を高めるような経験と学生の就職活動における目標が明確になることに繋がる経験が就職活動に対するモチベーションを高めることが明らかになった。  就職活動に対する満足を導き出す要因については、内定を取得することは、必ずしも就職活動に対する満足を導き出さないという結果が出ており、内定を取得することに加え、就職先の企業の安全性が高く、その企業と自分との価値観の合致している度合いが大きいことで就職活動に対する満足度が高まることが明らかになった。

【キーワード】
1. 就職活動 / 2. モチベーションスイッチ / 3. 自己効力感 / 4. 目標設定理論