慶應義塾大学 湘南キャンパス 秋山美紀研究室 Miki Akiyama Lab

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2009年度 卒プロ

秋山研の3名の4年生が卒業論文を提出しました。2009年度(2010年3月)卒業生では、北野華子さん、草野康弘くんが、ともに優秀卒業論文を受賞しました。なお、北野さんは学内外で優秀な活動をした学生に贈られるSFC Awardも受賞しました。

「子どもに対するインフォームド・コンセント―子どもの年齢と発達に合わせた説明アプローチの検討―」
環境情報学部 北野華子

概要: インフォームド・コンセントの実施には、理解力と判断力を備える同意能力が必要条件とされる。同意能力をもたないと判断される子どもに対して、欧米諸国では子どもの年齢と発達に合わせた説明、"プリパレーション"を実施している。プリパレーションは、子どもの認知発達段階に合わせた説明アプローチを行うことで、子どもの理解力の促進、対処能力の向上、そして不安や恐怖を軽減させる効果がある。欧米諸国で実践されているプリパレーションは有効的であるが、米国と我が国における社会的な背景や医療体制の違いにより、類似した説明体制を導入することは困難であるため、我が国にあった説明体制を検討する必要がある。本研究では、我が国における子どもの年齢と発達に合わせた説明アプローチについて、社会的な背景と医療体制の日米比較を中心に検討する。
Keywords : インフォームド・コンセント、インフォームド・アセント、プリパレーション、同意能力、ヘルスコミュニケーション

「診療室外における医師患者関係の構築に関する研究」
総合政策学部 草野康弘

今日の医師患者関係は、パターナリズムと患者の自律性尊重という一見相反する考え方が混在し共存している。特に、慢性疾患の増加に伴い医療者と患者の間の良好な関係構築の重要性が指摘されている。本研究は、現代の医療、望まれる患者医師関係の構築に必要な要素とプロセスについて考察することと、医師と患者の関係性構築に取り組む事例を詳細に分析し、その効果を明らかにすることを目的とした。
経営学の伊丹らが説く「場の論理」に着目し、医師と患者の良好な関係構築に取り組む事例を考察した。その事例の一つである千葉県立東金病院で毎月2回開催されている、専修医対象の住民参加型コミュニケーション研修について、質問紙調査とインタビュー調査を行い、結果として診療室の外で医師と患者がコミュニケーションをとることで、相互理解、相互信頼関係が醸成される事を明らかにした。
本研究では診察室の外で良好な関係構築を築くという視点で、従来の医師患者関係論には無い新しい視点を与える事ができたと同時に、経営学の「場の論理」が医療の場への応用可能性を示すことができたものと考える。
Keywords: .パターナリズム、.患者の自律性、慢性疾患、.場の論理

「同じ教室で障害児と健常児が共に学ぶために~統合教育実現への現状と課題~」
総合政策学部 国分茂行

私は「障害者」というのは、その人の短所が健常者よりも顕著なだけであり、それが生活に支障をきたす場面がある人のことを指すと考えている。しかし多くの人々は、そうした人々に手を差し伸べて助けるどころか、変な目で、哀れな目で見る。私はこうした見方をしてしまう原因に、幼少期に障害を持った人との接触・交流経験の少なさにあるのではないかと考えた。だから学校教育において、障害児と健常児が同じ空間で学ぶ統合教育を是非とも推進し、上で述べたような人々を少しでも減らしていくべきであると考えている。そこで本論文では、「障害児との接触経験が、健常児の障害に対する偏見の軽減につながるのではないのか」という視点で、これをまず先行研究によって考察し、実際に普通学級に子どもを通わせている二人の母親、そして実際に統合教育を経験した人に対するインタビューをもとにして、統合教育実現に向け、実態の把握と現状抱える課題をいかにして解決していくべきなのかを論じていく。