慶應義塾大学 湘南キャンパス 秋山美紀研究室 Miki Akiyama Lab

  • English
  • アクセス
  • サイトマップ

HOME > 2018年度 ライフストーリープロジェクト「年配者のライフストーリー〜健幸の語り」

年配者のライフストーリー〜健幸の語り

家族を大切に-息子との死別の経験から-

語り手:Yさん

―おじいちゃんとはどういうきっかけで出会ったんだっけ?

Yさん:出会いは、職場だね。24歳の頃に結婚したんだけど、旦那さんとは、再婚で少し歳が離れているの。  昔は、旦那さんの力が強かったから、何も反抗できなくて最初は大変だったのよ。「今に仕返ししてやる」って心のうちで思ったこともあったけど、旦那さんが亡くなると、あんな時もあったなと懐かしく思えるね。あんなことがあってよかったなと。それが強さの原点かもしれないわね。

―息子が生まれた時はどんな気持ちになったか覚えてる?

Yさん:当時は、今と違って両親で育てるという感じではなかったから、女一人で子育てをして手がかかったのよ。息子は男の子2人だけど、長男が20歳で白血病で亡くなったのね。その時は、やっぱりすごく落ち込んだ。彼ははすごくいい子で、みんなからすごく好かれていたのよ。病院に入っても先生に褒められたしね。エレクトーンが上手だったから期待していたし、またそのエレクトーンの音色がすごく好きだったのよね。そういう苦労を経験しているから、20歳で亡くなったその子の分までもう少し生きなきゃって思う気持ちがあるわね。

―夫を無くした時よりも辛かった?

Yさん:そりゃもちろん。長男を亡くした時がいちばんの辛い時だった。兄弟を亡くした時よりも辛かったわ。いまだに夢で見るもの。自分の子供っていうのは大きな存在なのよ。20歳でこれからっていう時だったし、自分がお腹を痛めた子供だったからね。でも孫ができて家族が増えた時は、嬉しかったわよ。

―最近の若い人たちでは、子供を持つのを嫌だと思う人がいるけど、どう思う?

Yさん:結婚して子供を産んだ方がいいわよね。自分が歳をとった時に一人でいるというのは、すごく不安だと思う。老人ホームに入るのは悲しいし、寂しいじゃない。若い人と一緒に住んでいるから、若い人のことがわかるのよ。結婚も子育ても、その当時はすごく大変で嫌になることもあったけど、子供を育てて大きくなったら、自分の時間ができるようになるでしょ。そうすると、苦労した甲斐があったと思うね。

―子供がいたことでどんな刺激や楽しみを感じましたか?

Yさん:自分が昔やらなかったことができるようになったの。幼稚園の送り迎えとかの楽しみがあったのよ。それに、子育てで大変なのは、いっときだけよ。育てるのは大変かもしれないけど、子供が大きくなれば楽しみはいっぱいある。子供がいると、大変なことよりも受ける恩恵の方が大きい。子供との旅行や、食事はやっぱり楽しいからね。それに昔に比べれば、今は夫婦で子育てできる時代だから、昔よりは楽な気がするわよね。

―子育てがひと段落してからは、何が楽しかったですか?

Yさん:両親がそばにいたから、家族で集まったり、ご飯を食べたり、デパートに行ったり、して過ごして、それが楽しかった。やっぱりみんなと会えるっていうのがよかったの。親戚も皆ずっと近くに住んでいたから会いやすかったし。近いからこそ、何かあるとすぐに集まることができて、歳をとってもその集まりは楽しかったわね。両親にとっても楽しかったんじゃないのかなあ。。採れたての野菜なんかを持ち寄って。  自分でできることはやって、長生きしようって思ってますね。母親は、90近くになっても一人でリュックを背負って電車に乗ってたからね。

語り手:Yさん プロフィール

昭和9年1月1日生まれの85歳。 8人姉弟の次女(長男、長女についで3番目)。 戦争で疎開を経験し、家族と離れ離れになる。また自分の子である長男が白血病によって20歳の若さで亡くなる。これらの経験から家族を大切にすることを大事にしている。


Yさん その他の語り

幸せに生きる
楽しみ今昔、移り変わる幸せ

健康に過ごす
長生きは人任せでは叶わない

困難を乗り越える力
戦争だけは絶対にしちゃダメ

若者へのメッセージ
我慢や努力の上に成り立つ幸せもある